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help リーダーに追加 RSS ちゃぶ台の在る食卓(工房飢餓地獄の巻)

<<   作成日時 : 2006/09/29 13:41   >>

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足が畳める座卓(ちゃぶ台)って大正末の特許らしんですが、足の収納にはバリエーションが可成り在って、小さなマイナーチェンジレベルの実用新案が濫立した生活道具です。折り畳み脚座卓ですから、なんといっても主に足の固定についての特許なんですが、大きくは金属と木材で固定の方法が異なり、そこにバリエーションがかなり在ります。今の基準なら実用新案としては独立して認可されない様なマイナーチェンジも含めて認可されている。他社は金属の板で抑える所を当社は竹を用いて・・・・おいおい(笑)。そこから見ると戦前の新案ってかなりいい加減な雰囲気がします。ただ、そこに当時の「ちゃぶ台業界」の活況とかなりな競争が見えて来ます。
さて、ちゃぶ台の裏側にはぺらぺらの紙で解説マニュアルが貼られた物がよく在るんですが、そこには如何に自社製品がすごいかが戦前の語調で語られている。その文面がまた正直楽しい。旧仮名遣いで誠に畏まつた偉そうな言葉遣いに、作業の手を休めて笑っちゃう。いい時代だったんですよね。今なら確実にクレームもの。ユーザーに対して「至極融通なる工夫に主婦も満足する事うけあい」とか「あまた余人にも理解されうる簡便なる構造」・・・客は一段下。ああ、ほんと「お客さまサービスセンター」が無い時代でよかった。


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さて現代、このちゃぶ台ですが、アンティークビギナーから練達者まで人気が在ります。現代社会で間取りのサイズが変わったとは言え、一人暮らしには重宝するし、広い家でも来客が多い時のエマージェンシーにはちょっと役立つ憎いやつです。中国製の現代ものをホームセンターでも見かけますが、やはり本物のケヤキ天板の物がよいということで皆さん捜されている。店頭にはあまり出ませんが、実は倉庫に在庫は山ほど在るんです。で、店鋪の販売スタッフから「直せ」「直せ」。しかし商品には成らない。変でしょ。実はちゃぶ台って修理屋泣かせなんです。だから修理部としても手を付けにくい。

まず、ちゃぶ台は基本的にほとんど壊れています。元々、構造的に稼動部分が多く、磨耗や破損リスクも高い。硬いケヤキでももちろん磨耗します。檜やラワンの物も在る。毎日使用されていれば最低でも一年で700回程度開閉されている。その上、下回りを軟材で作っている物も多いし、金属固定式は歪みやすい。それが大正とか昭和初期に作られているんですから、下手すると50年間使われている。材質・構造の宿命としてそこまでもたない。それにプラス、素人修理で釘が山程打ち込まれている。ああ困った。
一見、壊れていないレベルのものも、よく見るとヒンジ破損やサブフレームの剥離や支軸のねじれが起きていてかなり危うい物がほとんどです。露天だと業者さんの間に合わせ接着剤攻撃や釘打ち込みアタックの洗礼(笑)
むろん、これらも技術的には直せます。構造もそこまで複雑じゃ無い。しかし、ここでコスト計算の矛盾が発生する。大体、下手をするとちゃぶ台は露天で未修理ものが5~8千円程度で売られている場合が在るものです。Pro Antiques"COM"のお客さんもその辺はよく知っておられる。しかし、ちゃぶ台は仕入れ価格プラス、洗浄・分解・修正・補修・指物・漆塗装のフルコースで、最低10年程度の稼動部分の保障を考慮して修理しなければ成らない。どうしても計算するとコスト4万は超えてしまう。しかし、販売部門から希望価格は他店との兼ね合いで1万円台前半です。つまり大赤字。まして、この稼動部分の保障は「一年で700回程度開閉」・・・ここまで酷使されるアンティーク家具って他に無いんですね。テーブルのは脚と言えば「いのち」ですから、やはりこの辺りが頭痛の種。今なら、ベアリングやブッシュ入れたり力学的に加重を逃がす事をする部分も、当時の木工家具でかなりプリミティブですからそう言う小細工は出来ない。趣味でやっているバイクのカスタム技術使えるなら簡単なのに・・・とよく思います。

ちょっと愚痴っぽく成りましたが、ちゃぶ台そのものに話を戻すと、実はちゃぶ台にはかなりグレード格差が在るんです。これは以外と知られていない。板の厚みとか構造の工夫にそれが出ますが、安物よりやはり上級品は強度計算や磨耗も考慮されている。磨耗部分には柿や紫檀なんかを入れてある物が在ります。もともと足が畳める座卓(ちゃぶ台)は普通の古定式座卓に比べると安価であった様ですが、やはり特殊用途として高級ちゃぶ台という物が存在した様です。主に京都・大阪の商家からでます。こいつは修理も考慮された構造で家具としても堅牢です。多分、非常時に来客向けに作られた物なんでしょうね。
今回も店鋪からのリクエストで三つのちゃぶ台を直しました。知恵をひねりながらやるのである意味楽しいのですが、それでも誰かが「でも赤字なんですよね」と台なしな事をつぶやく(笑)。それを聞くと本当にやるせない。昔の「かみなりおやじ」はよくちゃぶ台をひっくり返したそうですが、修理部も時々ひっくり返したく成るのが「ちゃぶ台」・・・そんな今日この頃です。

 




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