昔の不思議な仕事??

 古い品物を修理すると言う事は、昔の制作者の何かに触れる事じゃないかと思っています。
 時に分解して初めて分かる様な、仕事っぷりと細やかな心配りや見えない工夫に溜息をつく事も在りますし、逆に酷い手抜きや驚く様な乱暴な作業に触れると色んな事が頭をよぎったりもします。
 当時でも高級な物は大抵見えない細部まで良い仕事が成されており、気持ちを引き締めて取り組む事が多いです。やはり、今以上に価格は細部に対して反映されていた事がよく分かりますし、単に本箱と言ってもピンからキリまで在り、当時の新聞広告等の価格差を見ても驚かされますが、逆に現代のアンティークマーケットでは、見るからにゴージャスな物を除いて、あまりお客さんがそのあたりの品質について気にされない点が大変不思議です。

 さて、中にはよく分からない不思議な仕事がされている物があります

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 例えばこれ、かなりハイクラスの6面取り陳列ケースです。

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フレームは上手のケヤキを丁寧に加工し、さらに木組みも秀逸です。古いオリジナルのガラスがうねうねとのたうち、なかなか迫力の在る品物で、京都の某街道筋の商店に陳列として使われていた物を引き取ってきました。

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 しかし、天板が割れています。そして、不思議なのは天板に大変薄いヒノキ板が貼られていた事です。フレームにここまで良いケヤキを使い、そしてここまで良い仕事をしながらどうして天板.....一番目立ち、かつカウンターとして使用する場合に、商品のやり取りをする部分でこんな木を持って来ているのか大変不思議です。
 結局、このように現実に割れていまってますからね。

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 工房に明治頃のちょうど良いケヤキの一枚板の床の間板がありました。ほれぼれする様な均整のとれた見事なものです。

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サイズ通りに加工し、

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角面をとり、造り直してみました。ほらっ、凄く良くなりました。

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 今回使用した様な、ケヤキ・・・そして、木目の美しい贅沢な木どりと厚みはコスト的に苦しかったでしょうが、現実に最初からケヤキ等の硬木を使用していれば間違いなく破損する事はありませんでした。そして・・・・もしかすると前のオーナーが使用を断念する事は無かったのでは無いでしょうか..... 。
 こうして柿シブと墨を使って加工し漆で仕上げるとこんな感じです。オリジナルからこう成っていたみたいでしょ。

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  恐らく、ケーキ屋さんかジュエリー等のショップのオーナーさん・・・もしくはコレクターの方が買われて行かれると思います。今同じ物をケヤキで造らせば4~50万はかかるでしょうからね。

 しかし、結局、どうして天板だけ素材が違いそれも質感が落ちる物をわざわざ分かりません。
 強引に推論するなら、上面の重量配分上のバランスを考えたか、重量がかかることを抑制したか。もしくは、カスタムオーダーだった為にクライアントの予算に限界があったのか・・・不思議な事に時々首をかしげる今日この頃です。

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